
飲食店や施設の厨房に欠かせない冷蔵庫・冷凍庫・製氷機などの冷機器。夏場は気温や湿度が上がり、これらの設備にかかる負荷が普段よりも大きくなります。「氷ができない」「庫内が冷えない」「霜や結露がひどい」などのトラブルは、営業への影響だけでなく、食材ロスや衛生リスクにもつながります。
本コラムでは、夏によくある冷機器の不具合とその原因・対策を現場目線でわかりやすく紹介します。日々のチェックポイントやセルフメンテナンスのコツ、そして「修理か買い換えか」の判断基準もカバーしています。暑さ本格化の前に冷機器の状態を見直して、問題が起きる前に備えましょう。
目次
厨房の「冷機器」、夏に備えていますか?
夏場、冷機器は厨房の命綱とも言える存在です。高温・多湿の条件下では冷却能力が低下し、不具合が発生しやすくなります。営業・衛生・食材コストの観点からも、早めの対策が肝心です。
夏に多い業務用冷機器のトラブル例
以下は、夏場によくあるトラブル例とその原因・対策です。
冷蔵庫・冷凍庫の温度が上がる
症状例:
- 庫内温度が通常より高い(10℃以上など)
- 冷えが弱く感じることが多くなった
原因:
- 厨房が非常に高温(例えば33℃以上)
- 吸気フィルターの目詰まり
- ドアパッキンの劣化
対策:
- 冷却部・フィルターの清掃を定期的に行う
- ドアの密閉状態をチェック・パッキン交換を検討
- 設置場所を見直し、熱がこもらない環境を整える
- 厨房内が33℃を超える環境下では、冷却不良が起こる場合があります。
多くのメーカーでは、このような高温環境での故障は保証対象外です。
厨房内の温度管理を適切に行いましょう。
製氷機の氷ができない・小さい
原因:
- 給水フィルターの詰まり
- 冷却能力が低下している
- 給水温度が高い
対策:
- フィルターをはずして洗浄・乾燥
- 給水温度を確認
- 厨房内の温度・湿度を下げる(換気/エアコン強化)
異音や異臭がする
症状例:
- 通常とは違う大きな音がする
- 焦げ臭いようなにおいがする
原因:
- コンプレッサーの異常
- 部品の経年劣化や配線の漏電/ショート
- ネズミなどが内部で配線をかじっている可能性も
対策:
- 異常を感じたらただちに電源を切る
- 専門業者に点検を依頼
- 異常を放置すると火災など重大事故に発展する恐れあり
ブレーカーが落ちる・電源が切れる
原因:
- 冷機器を含む複数機器の同時使用による電力オーバー
- 機器内部の絶縁不良や漏電
対策:
- 電力使用量を把握し、専用回路を設けるなど分散を図る
- 頻繁にブレーカーが落ちるなら専門業者による漏電検査
霜の付着
原因:
- 食材を詰め込み過ぎて冷気の流れが阻害されている
- 扉の開閉が多く冷風が外に逃げる
対策:
- 一旦庫内を空にして電源を切り霜を溶かす
- 再発する場合は霜取りセンサーの点検・修理を検討
結露が気になる
状況例:
- ガラス扉付き冷蔵ショーケースで顕著
- 外気との温度差が大きい場合に発生
対策:
- 定期的に表面を乾いた布で拭き取る
- 温度差を小さく保つ工夫を(庫内温度を安定させるなど)
トラブルを防ぐためのチェックポイント
以下は日常的にチェックすべき項目です。対策も含めて実践的に。
項目 | チェック内容 | 推奨頻度 |
---|---|---|
フィルターの詰まり | ホコリ・油汚れがないかを確認、清掃する | 月1回(油の多い場所は2週間に1回) |
ドアパッキンの状態 | ひび割れ・変形・密閉性を確認 | 月1回 |
設置場所の“熱こもり” | 壁や他機器から適切な間隔があるか確認 | 常時 |
厨房の高温・多湿 | 室温・湿度計でチェック、換気・冷房の状態を確認 | 日常的に |
庫内の整理整頓 | 冷風口の前が空いているか、物を詰め込みすぎていないか | 常時 |
冷蔵庫前の通気 | 通気口を塞いでいないか、荷物が前に置かれていないか | 常時 |
修理か買い換えかの判断基準
以下のような状況なら、買い換えを検討するのが現実的です。
状況 | 判断の目安 |
---|---|
使用年数5年未満で軽度の不具合 | 修理で対応可能 |
使用8〜10年以上か、冷却能力の著しい低下 | 買い替えを検討 |
修理費が新品の半額以上 | 買い替えがコスト効率良し |
※使用環境や頻度によって差があります。
まとめ:夏のトラブルは「日頃の清掃・点検」が一番の対策!
冷機器に関する不調は、「初期対応・日頃の点検・清掃」が最大の予防策です。夏本番を迎える前に、
- 各冷機器の状態をチェック
- 汚れや劣化部分を修復/交換
- 設置環境・庫内管理を整える
これらを実践することで、食材ロスや営業のトラブルをぐっと減らせます。日々のメンテナンスを習慣にして、安心できる厨房環境を保ちましょう。