
業務用厨房機器は、性能やサイズと並んで「設置環境との相性」も非常に重要です。特に電源の種類や電圧、周波数、ガス種が合っていないと、設置後に機器が作動しない、想定外のトラブルが起こるといった事態にもつながりかねません。
このコラムでは、業務用厨房機器を安全かつスムーズに導入するために確認すべき3つの仕様(電源・周波数・ガス種)について、基本からわかりやすく解説します。
厨房機器導入でまず押さえたい基本ポイント
業務用厨房機器の設置では、性能やサイズだけでなく、電源・周波数・ガス種の適合を必ず確認しましょう。これらが合っていない場合、以下のようなトラブルが起こる恐れがあります。
- 電源が入らない・正常に動作しない
- ブレーカーが落ちる・異常加熱などの故障
- 最悪の場合、火災や感電など事故につながることも
こうした問題を防ぐには、導入前の仕様確認と、適切な設置工事が欠かせません。
業務用厨房機器と電源の基礎知識
電圧の種類(100V/200V/三相200V)
厨房機器で使われる電圧は主に3種類です。
電圧 | 主な用途 | 特徴・備考 |
---|---|---|
100V(単相) | 製氷機・冷蔵庫など | 家庭と同じ電源で使いやすい |
200V(単相) | 電子レンジ・IHコンロなど | 消費電力の高い機器に多い |
三相200V | スチコン・大型冷機器など | 高出力・安定性に優れた業務用専用電源 |
三相200Vとは?業務用厨房で多く使われる動力電源
三相200Vは動力電源と呼ばれ、効率よく大きな電力を安定供給でき、スチコンや大型冷機器でよく使われます。
設置場所によっては「三相電源」が来ていないことがあります。電源の種類と容量を必ず確認しましょう。
電気容量についても確認を
業務用機器は消費電力が大きく、電圧だけでなくアンペア(A)数にも注意が必要です。
- 容量不足 → 動作不良やブレーカーが落ちる原因に
- 複数の機器を同時に使用する場合 → 合計の消費電力を確認
複数機器を使う場合は合計容量を確認し、必要なら配線やブレーカーの増設を検討しましょう。
コンセント(プラグ)形状について
電圧・電流の違いにより、コンセントの形状も機器によって異なります。以下は代表的な例です。
単相100Vのコンセント形状

100Vコンセント

100Vコンセント

3Pプラグのコンセプト

2ピン仕様変更
単相200Vのコンセント形状



三相200Vのコンセント形状



プラグを差したのに運転しない!そんなときは…
プラグが正しく差さっていても、動作しないことがあります。以下の可能性をチェックしましょう。
- 逆相(配線の順番が逆)
- 欠相(一部の線が断線している)
- 無電圧(そもそも電気が来ていない)
エラーコード例
- フクシマガリレイ: エラーコード【3P】
- ホシザキ: エラーコード【E6】
- 大和冷機: エラーコード【E4】
ブレーカーや配線の問題の可能性もあるため、工事業者や販売店に相談してください。
周波数(Hz)とは?50Hzと60Hzの違い
日本は地域によって電気の周波数が異なります。
地域 | 周波数 |
---|---|
東日本(関東・東北・北海道) | 50Hz |
西日本(近畿・中四国・九州) | 60Hz |
中部(静岡・長野・新潟など) | 混在地域のため要確認 |
周波数が合っていないとどうなる?
- モーターの回転数が変わる → 性能が不安定/事故の危険
- 一部機器が使用不可になることも
最近の機器は50Hz/60Hz両対応が増えていますが、必ず仕様欄で「定格周波数」を確認してください。
業務用機器に使われる「ガス種」とは?
ガス機器は、使用するガスの種類(ガス種)に合わせて製品を選ぶ必要があります。
ガス種 | 特徴・用途 |
---|---|
都市ガス(13A) | 都市部中心に配管で供給されるガス |
LPガス(プロパンガス) | ボンベ式。郊外や山間部などで多い |
- ガス種が合わない製品を使うと火災などの重大事故に直結します。必ず確認をしましょう。
厨房機器を導入する前に確認しておくべきこと
厨房機器の購入前に必ずチェックしましょう。
- 電源の種類(100V/200V/三相200V)
- プラグ・コンセントの形状
- 地域の周波数(50Hz or 60Hz)
- ガス種(都市ガス or LPガス)
- 必要な電気容量や分電盤の状態
- 配線・ガス工事が必要かどうか
まとめ|仕様を理解して、安全・スムーズな厨房づくりを
業務用厨房機器は高出力で安全性が重要です。設置場所の電源・周波数・ガス種に合った機器を選ぶことが大切です。
厨房市場では、仕様確認から機器選び、設置、アフターサポートまでトータルでご提案しています。不安なことがあればお気軽にご相談ください。