
厨房設備はなぜステンレス製が多いのか?
飲食店の厨房に欠かせない「作業台」や「シンク」。これらの設備は、ほとんどがステンレス製で作られています。
ステンレスは「サビにくく」「衛生的」で、耐久性にも優れた素材。食品を扱う現場で求められる衛生性と安全性を兼ね備えており、厨房環境に最適です。
ただし、ステンレスといっても種類はいくつかあり、特に「SUS430」と「SUS304」は用途によって選び分ける必要があります。
このコラムでは、ステンレスの違いや作業台・シンク選びのポイントについて、わかりやすく解説していきます。
1. SUSとは?
「SUS」は、Steel Use Stainless の略で、JIS(日本工業規格)におけるステンレス鋼の種類を示す記号です。
「SUS304」や「SUS430」など、数字によって成分や特性が異なるステンレスを区別しています。



2. 「SUS430」と「SUS304」—代表的なステンレス材の違い
SUS430の特徴
- 磁石がつく(磁性あり)
- 比較的安価
- 耐食性は中程度。水や湿気には強いが、塩分や酸にはやや弱い
- 加工しやすくコストパフォーマンスが高い
- 厨房で最も一般的に使われる素材
SUS304の特徴
- 磁石がつかない(非磁性)
- やや高価
- 非常に高い耐食性をもち、錆びにくい
- 塩分や酸にも強く、耐久性に優れる
- 衛生面を重視する環境や長期間の使用に適している
特性 | SUS430 | SUS304 |
---|---|---|
磁性 | あり | なし |
耐食性 | 中程度 | 非常に高い |
価格 | 安価 | 高価 |
用途例 | 一般作業台、シンク | 衛生重視、酸・塩分多い場所 |
作業台やシンクの特徴
厨房に欠かせない作業台とシンクは、サイズや形状、脚の種類、バックガードの有無など、細かな仕様で多彩なバリエーションがあります。
脚の種類
パイプ脚

丸い筒状の脚。角がないため掃除がしやすく、調整や加工も簡単。
アングル脚

L字型の形状。軽量で持ち運びやすく、コストが安い。パイプ脚より強度が高い。
角パイプ脚

四角形断面の脚で、強度と耐久性が最も高い。重量物(オーブンなど)の設置に最適。
脚枠の種類
三方枠(コの字状)

足元が広く、ゴミ箱や物置きのスペースとして活用可能。
四方枠

四方を囲み、作業中に揺れやすい材料や重い器具も安定して置ける。
スノコ

天板の下にスノコ板があるタイプ。収納スペースとして使え、省スペースの厨房に最適。
バックガード
作業台やシンクの後方に設置するガード。
- 水や食品が壁に飛び散るのを防止
- シンクの場合、バックガード上に水栓を取り付け可能
(単水栓:奥行5cm以上・高さ10cm以上、混合水栓:奥行6cm以上)

作業台の種類と選び方
作業台のサイズは幅450〜1500mm、高さ800・850mm、奥行450・600・750mmが一般的です。
特注サイズの製作も可能です。
作業台選びのポイント

スペースの確保
設置場所の寸法を計測し、作業効率が落ちないよう余裕を持つ。動線も考慮。

作業内容
調理や仕込み、盛り付けなど用途に応じてサイズを決定。仕込みが多い場合は大きめが◎。

ステンレスの種類
塩や酸を多く使う和食や寿司店などはSUS304がおすすめ。

付加機能の検討
引出し付き、扉付き、キャスター付きなど、作業効率向上のために必要な機能を選ぶ。
シンクの種類
厨房内で使用されるシンクは主に6タイプあります。用途やスペースに応じて選びましょう。
一槽シンク

シンプルで使いやすい一槽タイプ。限られたスペースに設置しやすく、洗い物や調理準備に適している。
サイズ例:幅450~900mm、高さ800・850mm、奥行450・600・750mm
二槽シンク

槽が二つあり、つけ置き用とすすぎ用を分けられる。衛生面での分別にも有効。
サイズ例:幅900~1500mm、高さ800・850mm、奥行450・600・750mm
三槽シンク

三つの槽があり、それぞれ別の用途に使える。
サイズ例:幅1200~1800mm、高さ800・850mm、奥行450・600・750mm
台付シンク

一槽または二槽シンクに台が付いている。作業スペースが確保でき、作業効率アップ。
サイズ例:幅(一槽)900~1200mm/(二槽)1200~1500mm、高さ800・850mm、奥行450mm
水切付シンク

斜頸があり、水切りがしやすい。台付の一槽または二槽タイプ。
サイズ例:幅(一槽)900~1500mm/(二槽)1200~1800mm、高さ800・850mm、奥行600・750mm
ダスト付シンク

小さなダスト用槽が付いており、水切り用のカゴも設置可能。
サイズ例:幅1200~1800mm、高さ800・850mm、奥行600mm
舟形シンク

横長の浅い一槽で、前縁が低い。魚介類の調理に便利。
サイズ例:幅900~1800mm、高さ800・850mm、奥行600・750mm
まとめ
厨房の作業台やシンクは、用途や設置環境、予算に応じて適切なステンレス材(SUS430・SUS304)と仕様を選ぶことが重要です。
厨房市場では、お客様のニーズに合った最適な板金製品をご提案しております。
どうぞお気軽にご相談ください。