「ものを大切に」「もったいない」「ありがとう」という価値観こそが、豊かな暮らしを創造する原点にあると、私は確信しています。
私は1960年、高度経済成長期の幕開けを迎えた東京・下町に生まれ、汗と油にまみれて無心に働く父の背中を見ながら育ちました。
当時、父は夜明けから日が暮れるまで、使い終わったペンキの一斗缶などをリヤカーで回収し、不純物を釜で溶かしてからきれいに洗い、梱包用の缶としてお菓子屋さんに卸すという再利用の仕事で生計を立てていました。
物のない時代で、使い終わったペンキ缶でさえ貴重なものであり、分けていただくのも一苦労だったのです。
その後、父は鉄屑屋となり、再利用できるものはどんなに小さな物でも一つひとつ手で拾い集めていました。
そんな父の姿を、私は子どもながらにとても誇りに思っていました。これが、私の原点です。
父が繰り返し教えてくれた言葉があります。
「ものを大切にしなさい」「『もったいない』という気持ちを忘れちゃいけない」「『ありがとう』という感謝を持ちなさい。人はそうやって家族や国を守ってきたんだよ」
今でも私の中で、強く生き続けている言葉です。
その後の日本は、科学技術の飛躍的な発展と右肩上がりの経済成長のもと、終身雇用・年功序列・年金制度が整い、安定成長期を迎えました。
「より大きく」「より多く」「より高く」「より新しく」といった目標のもと、大量生産・大量消費を繰り返し、環境破壊や公害を引き起こしてきました。
人々の価値観は「ものの豊かさ」に偏り、日本人らしさを象徴する「ものを大切に」「もったいない」「ありがとう」といった謙虚な精神は、残念ながら影を潜めていきました。
しかし今、ようやく私たちは地球の悲鳴に目を向け始めています。
「より小さく」「より少なく」「より低く」「より持続可能に」といった目標が掲げられるようになりました。
時代は「モノからコトへ」――つまり、モノ(商品・技術・知識・情報)そのものに価値があるのではなく、それを用いて価値を創造する「コト(知恵や体験)」にこそ、真の価値があると考えられる時代へと移り変わっています。
これは“ものづくり”の原点とも重なります。
だからこそ、私たちが今できることは、「原点回帰」だと考えています。
私たち厨房市場は、「ものを大切に」「もったいない」「ありがとう」という価値観を原点に据え、厨房機器の開発・流通・回収・再生に特化した事業を通じて、循環型社会の実現に貢献してまいります。
「厨房市場」はその名のとおり、「市場(いちば)」です。
広く門戸を開放し、これから私たちと志を共有できる、たくさんのお客様と出会えることを楽しみにしております。

代表取締役 田中利幸
Profile
- 1959年 9月25日生まれ、東京都江戸川区出身、在住
- 1982年 3月 法政大学経済学部卒業
- 1982年 7月 株式会社三和銀行(現 三菱UFJ銀行)入行
- 1984年 4月 事業継承のため株式会社田中金属入社
- 2002年 4月 株式会社田中金属代表取締役就任
- 2005年10月 株式会社厨房市場設立、代表取締役就任
- 2008年 9月 株式会社T&Tプロダクツ(現 株式会社ネクサス)設立、代表取締役就任